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2009年 8月
「はい、次の方~」
抑揚のない、全くやる気の感じられない面接官の声が、面接会場に響いた。
「はい!」
面接室の、外のソファーに腰掛けていた少女が慌てた様子で返事をし、立ち上がった。
少女は緊張した面持ちで、髪を整えている。
綺麗というよりも、可愛いといった感じの少女である。
少女は、名を城崎愛と言った。
春に高校を卒業し、先日誕生日を迎え、19歳になったばかりである。
この面接は、深夜枠の一時間程度の恋愛ドラマのヒロインを決めるオーディションである。
様々な事務所に所属しているアイドルや女優が、このオーディションを受けに来ていた。
ざっとではあるが、百人ぐらいはいるだろうか?
深夜枠ではあっても、もし採用されれば、芸能人として、一気に道が開ける可能性があった。
(大丈夫、夢は叶う。願えば、夢は必ず叶う。あたしなら出来る)
愛は、この面接に並々ならぬ決意で臨んでいた。
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