Human behavior

5/20
前へ
/26ページ
次へ
「小林さん……君は……」 「知りたいのでしょう? わたしのこと、そして、あなた自身のこと」 彼女は真っ直ぐ僕の目を見つめて言った。自己愛という、どうしようもなく固い鎖で縛られた僕の秘密。自分ではとても開くことのできない鉄扉の鍵を彼女は持っている。 「わたしが知っている限りのことを話すわ。でもきっとそれはあなたにとってとてもグロテスクなこと。世界を愛し、人間を愛するあなたにとって最も残酷な事実かもしれない。それでも聞く勇気はあるかしら」 多分それは最後通告だ。今まで暮らしてきた世界には戻れない。どこに向かうかも分からない片道切符を渡されたようなものだ。 でも、僕はきっとそれを受け取る必要がある。 それが、僕を地獄へ誘う悪魔から渡されたものだとしても。 僕がゆっくりとうなづくと、長くなるわよと言って彼女は話し始めた。 ◇◆◇◆◇◆
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加