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ホームルームが終ってすぐ小林さんの方へ歩いていく。彼女は既に帰りの身支度を済ませ、教室から出て行く様子だった。
「小林さん、ちょっといいかな」
「はい、どうしましたか」
「これから話がしたいんだけど、時間あるかな?」
僕の言葉を聞いた小林さんの横の女子が、驚いたように近くの女子に報告をしているらしい。小林さんはちらと黒板の上の掛時計に目をやり、少し思案した後、わかりました。とひとこと言った。僕も急いで自分の席へ戻り、帰りの身支度を済ませると、小林さんと二人で教室から出た。僕らの出て行ったあとの教室が少し騒がしかった様な気がする。
共に靴箱のある踊り場へと着くと、これからどうしようか、と彼女が言った。とりあえず近くのファミレスに行かないか、と言うと、七時までに帰宅できればいいということで了承をもらった。
正直、自分でも小林さんと話したくなった理由が掴めずにいた。彼女に対する興味や、好奇心があるわけではないような気がする。強いて結論づけるなら違和感というのがピッタリだ。なにか整合性を持たない、納得のいかない歯痒さや気持ち悪さを彼女から感じていた。
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