39人が本棚に入れています
本棚に追加
その頃、空愛は美羅を捜して引き止めていたところであった。
「えっと、美羅先輩でしたよね?」
「あっ‥
あなた、さっきの茜くんの友達さん?」
「はいっ
えっと、二年生に怖いけどイケメンな先輩居ますか?」
「強面イケメンって事?」
「はぁ‥
そんな感じです。」
「あぁ。
分かったわ‥
そんなのは1人しかいないわ」
「是非、お名前が知りたいんですが?」
「城宮 大雅よ。
もしかして、あなた好きなの?」
「えっと、好きって言うか‥
気になるって言うか」
「ふぅーん?
じゃあ、茜くんは友達なんだね」
「えっと、さっき絶交しちゃって‥」
「ふぅーん?
じゃあ、告られたわけね」
「は、はぁ‥」
空愛が美羅の言葉に頷いていると、茜がバタバタ走ってやってきた。
「空愛!」
「藤ちゃん‥」
「何やってんだよ?
ホームルーム始まるぞ」
「藤ちゃん、何で?!
私絶交って言ったよね!」
「絶交?
そんなん俺が受け入れ拒否だ」
「それじゃ、意味ないよ」
「意味なくていい。
俺は今日から、空愛にアタックする予定だから逃がさねーからな」
「な、何言って‥」
「ほら、行くぞ!」
「やっ!」
「ヤじゃねーの!
怒られるから、大人しくしろ」
茜はそう言うと、空愛を担ぎ上げて美羅の方を振り返るとこう言った。
「美羅先輩‥
俺、コイツが好きなんで」
「えっ‥
ちょっと、茜くん?!」
茜は美羅の呼び止めには応えず、空愛を抱えたまま歩き出した。
「もぉー
藤ちゃん、恥ずかしいから降ろせぇー」
「空愛?
俺、本気だから覚悟しろな」
「はぁー?!
意味わかんないってばもぉー」
空愛が茜と言い争いをしている中、美羅は沸々と怒りを露わにしていた。
「何よ‥あの子‥
茜くんまで虜にして‥許せない」
美羅のそんな邪念に満ちたオーラを楽しげな二人はまだ知る由もなかった。
最初のコメントを投稿しよう!