0.一目惚れ

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それから教室へ向かった二人は、担任から勝手に学級委員に任命されてしまっていた。 「もぉー 藤ちゃんが変なこと言うから、ホームルームに遅れたじゃん!」 「空愛が逃げるから探しに行っただけだろ! 俺は悪くないっしょ?!」 「だって、学級委員だよ‥ 大変じゃんかぁ」 「俺もやるんだから良いだろ」 「むぅ‥ 何でこんな事に」 二人がホームルーム中にそんなやり取りをしていると、チョークが二本2人のオデコにヒットした。 「コラッ! ホームルーム中なんだから喧嘩するな」 「痛いよぉ‥ 藤ちゃんのせいだ」 「何で俺?! 空愛がグチグチ言うから言い合いになったんだぞ」 「オィ? お前ら、廊下出ろ」 「えぇー なんすかそれ?!」 「うるさい。 喧嘩するなら、余所でやれ」 担任の宮澤 颯斗は呆れたようにそう言うと、二人を廊下へと立たせた。 「終わるまで立っとけ」 「うぅ‥ やっぱり藤ちゃんのせいだよね?」 「ソラもちょっと悪いぞ」 二人がそう言い出すと、宮澤は呆れてドアをピシャリと閉めてホームルームを始めた。 「ふふっ」 「何か可笑しいのか、鳴海?」 「あの二人、面白い。 後で話してみない?」 「また出たな! 鳴海の物好きが‥」 「いいでしょ? もしかしたら、お友達になれるかもしれないよ」 「はいはい。 俺は別に何も文句は言わないよ」 「龍もたまには友達作った方がいいよ?」 「そういうのは、あんま得意じゃないんだよなぁ‥」 「いいから、ちょっとはやる気出そうよ! あの子と友達になれるように頑張るんだからね?」 「案外すぐ仲良くなるんじゃねーの?」 「それは話してからしか分からない」 城崎 鳴海は自信なさげにそう言うと、川崎 龍はフッと笑ってこう言った。 「お前なら大丈夫だ」 「龍‥ もしかして、励ましてくれてる?」 「べ、別に?」 龍がプイッとそっぽを向くと、鳴海はフッと笑って廊下の方を見ては微笑んだ。 「それじゃあ、明日から通常授業だから各自忘れ物のないように。 それではホームルーム終わりだ」 颯斗がフッと笑ってそう言うと、三組クラスの男女は席を立って帰る準備を始めた。
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