0.一目惚れ

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それから教室から出た颯斗は、二人にデコピンしてから去ろうとしたがー‥ 「「今のは、体罰だ!」」 「あ? 何か言ったか悪ガキども」 「「何でもないやい!」」 「ふぅーん? 教師に向かってその態度はどうだかな‥ 敬語を使え」 「うぬ‥」 「むぅ‥」 空愛と茜はムスッとした顔をすると、嫌そうに敬語で謝る。 「すみませんね、先生様」 「すみません、先生」 「お前らいちいち面倒だな‥ クラス換えたいな」 「担任はアンタだろ! ちゃんと責任取れよな」 「そーよ。 先生が担任になったから、責任は先生にあるわ!」 空愛と茜がビシッとそう言い放つと、颯斗はフッと笑って二人を交互にみる。 「ほぅ? そんなに俺がいいのか」 「「はぁー?!」」 「なら、三年間世話してやるか‥ じゃあなぁーバカ共」 颯斗は不適な笑みを浮かべると、今度こそ去っていった。 「むっかぁー 何だよあの教師!」 「三年間世話って‥ それも藤ちゃんがあんな事言うからだよね!」 「ソラもノリノリだったじゃん! 俺のせいにすんのは違うだろ」 「じゃあ、誰が悪いの?」 「うーん? やっぱり俺?!」 「もぉー 藤ちゃんが今日は悪いんだよ! 告白なんてするから不幸が」 「それはあんまりだ! ソラが好きなんだから仕方ねーの」 「ばかぁー 勝手に好きにならないで!」 「それなら、ソラも一目惚れすんのはナシだろ! 勝手に好きとか勘違いすんなよ」 「な、なにぉー」 空愛と茜が更にヒィートアップし始めようとすると、豪快な笑い声がした。 「あっははは! お前ら、痴話喧嘩か?」 「はぁ? お前誰だよ」 「俺は同じクラスの、咲坂 洸だ。 お前らホームルームん時から喧嘩してるからかなり目立ってたぞ」 「あれは、藤ちゃんが悪いからだもん」 「藤ちゃんって、コイツ?」 「うん。 藤 茜ちゃんだから、藤ちゃん」 「ふぅーん? 何か、面白いなお前」 「私?」 「名前は何だっけ?」 「七瀬ですけど?」 「普通下の名前だろ」 「空愛ですけど?」 空愛が首を傾げながらそう言うと、洸はフッと笑って髪を撫でてきた。
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