0.一目惚れ

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「もぉー 大雅ったら、反抗期?!」 神田 佑が母親みたいな台詞を吐いていると、大雅はベェーっと舌を出すとまたスタスタ歩く。 「大雅、何かご機嫌斜め?」 「別に普通」 「そう。 何かあるなら相談してくれよな?」 「佑、彼女待ってんぞ」 「あっ! 千夏ちゃん、おはよう」 「佑、遅い! 罰としてゴミ捨て行って」 「ノー 何で休み明けなのにゴミがあんだよぉー」 「男子達が朝から何か食べてゴミに入れてたからよ。 何か重いから宜しくね?」 「うぅ‥ 千夏は手伝ってくれないの?」 「ごめん。 今から図書室の掃除頼まれてて」 「そっか‥ じゃあ、行ってくるね?」 「あっ! 佑、ちょっとこっちに隠れて」 「ん? どうして‥えっ?!」 「へへっ 佑が元気出るようにオマジナイ」 「ち、千夏‥ キスなら口がいいな」 「えっ‥ じゃあ、ゴミ捨て終わったら図書室に来てくれる? そしたらしてあげるね」 結城 千夏がそう耳元に囁くと、佑はすでにメロメロな状態になっていた。 「じゃあ、頑張ってね」 「うんっ 行って来まーす」 佑はご機嫌にゴミ箱を抱えると、廊下をルンルンでスキップしていった。 「千夏、お前‥ 佑に甘すぎ」 「えっ‥ だって、佑可愛いし」 「全く、これだから佑が母親みたいな事ほざくんだぞ?」 「それは、私のせいじゃないよね? それより大ちゃん何か具合悪そうだね‥」 「あぁ。 ちょっと微熱だ」 「大丈夫?」 「心配ない」 大雅がフッと笑ってそう言うと、千夏はニッコリ笑って図書室へと向かった。 「やっぱ、保健室行くか‥ だりぃな」 大雅はもう少しで教室だったが、来た廊下を逆戻りして保健室へと足を運んだ。 「おっ? 大雅、また微熱かい」 「あぁ。 ちょっとだけ寝ていいか?」 「薬あるけど飲む?」 「あぁ‥ 嫌いだけど飲む」 「可愛いな、お前は」 保険医はそう言うと、苦そうな粉薬と水を大雅に差し出す。 「マズッ‥」 「ははっ 薬は苦いものだよ」 永瀬 蓮見はニヤッと笑うと、とりあえず体温計を手渡した。
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