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「蓮見。
女って何で触りたがるんかな」
「へっ?
珍しい相談だね」
「さっき、小さい女を助けた。
そしたら触ってきたから跳ね退けちまった」
「ふぅーん?
大雅、女の子好きじゃなかったの?」
「そりゃ、好きだけど‥
あんま触られるのは落ち着かない」
「ほほう。
面白い体質だね」
蓮見はニッコリ笑うと、体温計をジッと見てベッドを勧めた。
ガラガラ
「失礼します」
「藤ちゃん、大丈夫だから教室行こう?」
「バカ‥
手が腫れてんだろ」
「大丈夫だもん」
「一応、先生に診せろ」
「どうかしましたか?」
「あ、先生!
コイツの右手診てやって」
「どうしたのこれ?」
「転んだだけです」
「ふぅーん?
この程度なら大丈夫だね。
冷やしたら腫れは引くよ」
「湿布で大丈夫すか?」
「そうだね、一応貼ろうか」
蓮見がそう言うと、ベッドで横になっていた大雅はカーテンの隙間から様子を窺う。
「よし、これで大丈夫。」
「あ、ありがとうございます」
空愛がニッコリ微笑むと、蓮見もニコリと微笑んで道具を片づける。
「じゃあ、失礼しました。」
「失礼しました」
空愛と茜が保健室から出ていくと、蓮見はカーテンをシャッと開けてニヤッと笑う。
「彼女だね?」
「何で分かんの?」
「様子窺ってたし、右手を叩いちゃったんでしょ?」
「全く、あんたは怖い人だな」
「大雅、彼女年下だね?
だからさっきあんな風に戸惑ってたんだね」
「あ、あぁ。
年下は苦手だ」
大雅が照れくさそうにそう呟くと、蓮見はフッと笑ってカーテンを閉めた。
「もぉー
藤ちゃん、心配しすぎだよぉ‥」
「当たり前だ。
女の子なんだから、傷残ったらマズいだろ!」
「うぅーん?
それもそっか‥」
「そうだぞ。
お嫁に行けないぞ」
「それは困るかもね」
空愛が深刻な顔でそう告げると、茜はフッと笑ってこう呟く。
「そん時は俺がもらってやるよ」
「はっ?!
藤ちゃんは友達だからダメだよぉ‥」
空愛がニッコリ微笑んでそう言うと、茜は寂しげな顔になる。
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