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「藤ちゃん‥
何か大丈夫?」
「一目惚れ?
何言ってんだ、空愛」
「えっと‥
だから、私が好きになってしまったみたいで」
「はっ!?
何で初めて会った奴に惚れる訳?
俺が居んのに」
「えっ‥
藤ちゃんは友達だよ?」
「バカだろ、空愛は!
俺は空愛を友達としてみてない。
好きだから一緒にいんだよ」
「えっと‥
それは、友達としてでしょ?」
「違う。
俺は空愛を恋愛感情の方で好きだ」
「えっと‥
私は、藤ちゃんを友達としか見てないよ」
「分かってるよ、そんなの。
でも空愛が他の奴に惚れるのは納得できない」
「何で?
藤ちゃん、さっきまで友達で居るって言ってたよね‥
何で私が恋したらいけないの?!」
「空愛は恋したことないから、きっと勘違いしてんだよ。」
「勘違い?」
「一目惚れなんて、一時の気の迷いだ」
「そんな事、藤ちゃんに言われたくない。
藤ちゃんだって、好きとか言うけど勘違いかもよ?!」
「俺はずっと空愛を女として見てる。
一目惚れなんてもんじゃない」
「な、何よ‥
私が恋したら間違いみたいな言い方して!
もう、藤ちゃんとは絶交だもん」
空愛は泣きながらそう告げると、校舎内へと走っていってしまった。
「絶交‥
何言ってんだよ、空愛」
茜は掲示板をバンっと叩くと、空愛を追いかけようとしたが止められた。
「あれ?
君って、さっき保健室に来たイケメンくんだよね」
「あっ‥
さっきの保険医の」
「蓮見だよ。
みんなそう呼ぶから、君もそれで構わないよ」
「蓮見先生‥
もしかして、聞いてました?」
「えっとぉ‥
偶然通りがかりましたから、なんて言うか」
「そうですか‥
俺は、茜です」
「茜くんは空愛ちゃんが本当に大好き?」
「当たり前です。
もう何年間思い続けてるか」
「ふぅむ。
期間が長いと友達歴が延びてしまって実りにくいよね‥」
「そう、ですね‥」
茜と蓮見が掲示板付近で話し込んでいる時、空愛は保健室の近くをトボトボ歩いていた。
「藤ちゃんのバカ‥
友達って言ったのに、嘘つきだ」
空愛が泣きながら歩いていると、保健室から手が伸びてきて引っ張り込まれる。
「う?」
「‥これ、お前のだろ」
そう言っていきなり手渡されたのは、無くしたはずの空愛の探していた携帯電話だった。
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