0.一目惚れ

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「藤ちゃん‥ 何か大丈夫?」 「一目惚れ? 何言ってんだ、空愛」 「えっと‥ だから、私が好きになってしまったみたいで」 「はっ!? 何で初めて会った奴に惚れる訳? 俺が居んのに」 「えっ‥ 藤ちゃんは友達だよ?」 「バカだろ、空愛は! 俺は空愛を友達としてみてない。 好きだから一緒にいんだよ」 「えっと‥ それは、友達としてでしょ?」 「違う。 俺は空愛を恋愛感情の方で好きだ」 「えっと‥ 私は、藤ちゃんを友達としか見てないよ」 「分かってるよ、そんなの。 でも空愛が他の奴に惚れるのは納得できない」 「何で? 藤ちゃん、さっきまで友達で居るって言ってたよね‥ 何で私が恋したらいけないの?!」 「空愛は恋したことないから、きっと勘違いしてんだよ。」 「勘違い?」 「一目惚れなんて、一時の気の迷いだ」 「そんな事、藤ちゃんに言われたくない。 藤ちゃんだって、好きとか言うけど勘違いかもよ?!」 「俺はずっと空愛を女として見てる。 一目惚れなんてもんじゃない」 「な、何よ‥ 私が恋したら間違いみたいな言い方して! もう、藤ちゃんとは絶交だもん」 空愛は泣きながらそう告げると、校舎内へと走っていってしまった。 「絶交‥ 何言ってんだよ、空愛」 茜は掲示板をバンっと叩くと、空愛を追いかけようとしたが止められた。 「あれ? 君って、さっき保健室に来たイケメンくんだよね」 「あっ‥ さっきの保険医の」 「蓮見だよ。 みんなそう呼ぶから、君もそれで構わないよ」 「蓮見先生‥ もしかして、聞いてました?」 「えっとぉ‥ 偶然通りがかりましたから、なんて言うか」 「そうですか‥ 俺は、茜です」 「茜くんは空愛ちゃんが本当に大好き?」 「当たり前です。 もう何年間思い続けてるか」 「ふぅむ。 期間が長いと友達歴が延びてしまって実りにくいよね‥」 「そう、ですね‥」 茜と蓮見が掲示板付近で話し込んでいる時、空愛は保健室の近くをトボトボ歩いていた。 「藤ちゃんのバカ‥ 友達って言ったのに、嘘つきだ」 空愛が泣きながら歩いていると、保健室から手が伸びてきて引っ張り込まれる。 「う?」 「‥これ、お前のだろ」 そう言っていきなり手渡されたのは、無くしたはずの空愛の探していた携帯電話だった。
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