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「あ、ありがとう」
「やっぱ、お前のか」
「今探してて、それで‥ヒック…
藤ちゃんが‥」
「泣くな。
鼻真っ赤だぞ?」
「うぅ‥
だって、藤ちゃんと絶交しちゃったんです」
「だから、泣くなって‥
どうして俺にそんな意味不明な事を言うんだ」
「だって、先輩が好きなんだもん‥
だから藤ちゃんと絶交して」
「はっ?!
お前、冗談はよせ」
「冗談じゃありません!
先輩に一目惚れしたんです」
空愛が潤んだ瞳で大雅を見上げると、大雅は顔を逸らした。
「せん‥ぱい?」
「いきなり告んな‥
意味分からん」
「意味分かりますよね?
好きだから告白してるんですから‥」
「あのなぁ‥
お前、誰だよ?
それに俺のこと知らねーだろ」
「わ、私‥
七瀬 空愛って言います!
先輩はなんて名前ですか?」
「名前?
そんなの聞いてどうすんの」
「えっと‥
名前知らないので、呼べないですし」
「あんたに呼ばれる筋合いないな」
「先輩、意地悪な人?」
「さぁーな?
誰かに聞いてみたら」
「あっ!
あの人に聞いてみます。
えっと、先輩にまた会いに来ますね?」
「はっ?!
オィ!」
「じゃあ、これありがとうございました。」
空愛はニッコリ笑って保健室を出て行くと、大雅は真っ赤になって床に座り込む。
「七瀬‥空愛か」
大雅はハァーっと溜息を零すと、空愛の泣き顔を思い出してはまた戸惑う。
「何なんだ、アイツは‥」
大雅はこれ以上にない出来事に戸惑いまくり、暫く保健室から動けなかった。
ガラッ
「ん?
大雅、何座り込んでるの?」
「え」
大雅はボーッとしていた為、蓮見が戻ってきた事にもイマイチな反応をする。
「どうかしたの?」
「い、嫌。
ただ‥」
「あっ!
空愛ちゃん、携帯取りに来た?」
「ブッ?!」
「図星だね」
蓮見が面白そうにそう言うと、大雅は照れた顔を隠すように俯く。
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