三番街の処刑人

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放課後、いつもの様に寮で拓郎達と別れた楝は、自室に戻るとそのまま転移で三番街の郊外へ飛んだ。 あえて郊外に転移したのは、単純に人目を避けるためだ。 人間は転移を使うことができない。理由は秘術同様、器となる肉体を持つからと言われているが、明確な原理は未だ解明されていない。 しかし肉体を持たないダークソウルや、それに準ずる力を持つ者は転移が可能であることがわかっている。 楝は後者に当る為、ヒトの身でありながら転移が行える。 とはいえ、もし昼間に転移している所を誰かに見られでもすれば、『自分がダークナイトです』とバラしているようなものなので、それを避けるべく、事前に転移しても問題ない場所を調べておいたのだ。 楝が転移したのは、郊外にある路地の一画だった。周囲にヒトがいないことを確認し、路地を出て三番街へと入る。 路地裏でボール遊びをする子供、串焼きを販売する露店、小さな飲み屋ではまだ夕刻であるというのに、地元の人と思われる中年の男達が、酒を片手に談笑している。 恐ろしい事件が起きているにも関わらず、街の雰囲気は一昨日来た時とあまり変わらなかった。
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