三番街の処刑人

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なるほど、と楝は思った。 調査部の調査があまり進展していないということは雄基から聞いていたが、言い合いをする彼らを見てその理由に納得する。 警察関係者には縄張り意識が強いのか、ギルドによる捜査への介入を快く思わない者が多いと聞く。 確かにこうも邪険に扱われては、調査部の人達もやり辛いだろう。 その上怒鳴り散らしているあの刑事は、態度からして典型的なギルド嫌いに見えた。ギルドの特例権限が行使されていない以上、調査部も強く意見できないのかもしれない。 --それにしても…… 楝は言い争う彼らから視線を外し、改めて周囲の観察を始めた。 肉眼で確認する限り、事件現場周辺に不審なものはない。もし仮にあったとしても、その程度であれば警察が既に調査を終えているはずである。 --そうすると、やはり…… 楝は確信した。 一昨日前に事件現場を目撃してから、ずっと引っかかっていた何か。それが何だったのか。 今日ここへ来てはっきりした。 ここに着いてからずっと感じていた、纏わりつくような重く息苦しい気配。 嫌でも分かる、血生臭い、ぞわりとした感覚。 --間違いない。今回のこの事件、奴らが関わっている
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