三番街の処刑人

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「どうぞ」 声に促され、楝は扉を開ける。 そこには案の定、山積みにされた書類の山が彼女を出迎えた。 いつものことだが、何故彼はこんなにも書類を溜め込むのだろうか。 「書類の山で、登山はできないぞ」 「好きでしている訳ではないよ。……フフ。以前にも、こうして似たようなやり取りをした気がするな」 そういって、ギルドトップであり彼女の恩師でもある奥村が、書類の山から顔を出した。 心なしか、表情が嬉しそうなのは気のせいだろうか。 「それで?今日ここに来たのは、例の事件についてか?」 「その様子だと、ブラスターから概ね話は聞いているようだな」 楝が任務外調査を申請するのは今回が初めてとなる。その為雄基が、気を利かせてくれたのだろう。 --なんというか、本当に昔から世話を焼くのが好きな人だ…… 楝は兄弟子の気遣いに感謝しながら、改めて事の経緯を奥村に報告していった。
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