三番街の処刑人

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闇夜に浮かぶネオン街の光が、夜風に乗って運ばれる。しかし光が辿り着く場所は、最低限の光のみが灯っている。 --まるで、別世界だな…… とある建物の屋上で、遠くに見える一番街の明かりを眺めながら、楝は思った。 現在の時刻は、午後十一時。同じ繁華街区なのに、この三番街だけが異様な静寂に包まれているのは、ギルドが夜間外出禁止令を出しているせいだろうか。 通常、世間に影響を与える強制令を発令できるのは、各国の政府や自治体といった行政機関のみ。 しかしいくつかある強制令の内、今回三番街に発令された夜間外出禁止令だけは、ギルドに公布権限がある。 仕組みとしては、ダークソウル関連で夜間の外出が危険とギルドが判断した際、ギルドが夜間外出禁止令を公布。それを行政機関に通達し、行政側が発令するという流れだ。 今回の事件が最初に発生した際、特例権限を行使できなかったギルドは、せめてもの対応策として禁止令を公布したと奥村から聞いた。 その為、現在三番街は夜間の外出を法律で禁止された状態となっている。 街が静まり返っているのも、そのせいなのだ。
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