13人が本棚に入れています
本棚に追加
今回、任務外調査をするにあたって、奥村からいわれた注意点は三つ。
一つ、任務外調査はあくまでも個人が行う調査の為、ギルドからの支援は最低限のしか受けられない。
二つ、もし調査中にダークソウルを発見した場合は、これの討伐を優先すること。
そして三つ、万一対象の管轄機関関係者から指示を受けた場合、非常時を除きこれに従うこと。
つまり、もし今回調査中に警察関係者と遭遇し、調査の中止を言いつけられたら、楝はそれに従わなければならないのだ。
なんとも、面倒なシステムである。
「ひとまず、事件現場をひと通り周ってみるか」
そう呟くと、楝はひとり闇夜の街中へと消えていった。
その後楝は、最初に事件が起きた場所から順番に、事件現場を見て回った。
四件目の現場まで周り終えた所で、楝は地図を確認する。
最初の事件が起きたのが、今からひと月程前のこと。それ以降も合わせて五件、事件が起きている。
流石にダークソウルの気配や物的証拠は残っていなかったが、事件現場から何か共通点を掴めるかもしれない。そう楝は踏んでいたのたが……
「こうも現場に共通点がないとはな……」
ダークソウルは基本その本能故、無差別にヒトを襲う。
けれど稀に、死際の強烈な負の想念が本能に焼きついてしまう個体がいる。
そういった個体は、負の原因となった場所に出現したり、憎悪の対象となった人物に近い年齢層のヒトを襲う傾向を持つことが多い。
そのため今回の事件も、そういった個体の仕業かもしれないと踏んでいたのだが……。
事件現場に共通点はなし、被害者も性別や年齢層がバラバラと来ている。
楝は小さくため息をついた。
ある程度の予想はしていたが、今回の件、どうやら一筋縄にはいかなそうだ。
「とりあえず、残りの箇所も調べておくか……」
楝は地図を仕舞うと、心具を呼び出し歩き出した。
彼女がまだ調べていない事件現場はあとひとつ。一昨日、初めて事件に遭遇した場所だ。
楝が脚を運ぶと、案の定現場は立ち入り禁止のロープで封鎖されていた。しかし夜間外出禁止令が出ているせいもあってか、見張りの警官などは見当たらない。
もしかしたら、刑事や警官が張り込んでいるかも。
などと考えてもいたのだが、これなら問題なく調査ができそうだ。
最初のコメントを投稿しよう!