三番街の処刑人

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楝はロープを潜り、周囲を見渡した。 常闇へ続く細い道。迫りくるようにせりたった建物。その隙間から僅かに漏れる月の光。 日中ではわからなかったが、この場所も他の現場と同じく光がほとんどない。 ーーなるほど。確かに、奴らが好みそうな場所だ。 ダークソウルは闇に集いやすい。そのため、こういった光のあまりない場所に現れることは多い。 それにこれだけ暗いのだ。ダークソウルでなくとも、殺人鬼や暗殺者が奇襲をかけるには持って来いの場所だといえる。 その後も数十分掛けて、楝は現場周辺を調査して回った。 しかしーー ーーこうも何もないとなぁ…… 物的証拠になるようなものは当然なし。夕刻に感じた痕跡を探ってもみたのだが、今はダークソウルが活発に動く夜。至る所から奴らの気配がするため、これでは到底追えたものではない。 完全に手詰まりだった。思わずため息が漏れる。 ーーとはいえ、ダークソウルの存在を確信した以上、このまま引き下がる訳にもいかないか。
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