13人が本棚に入れています
本棚に追加
その瞬間。
突如背後にダークソウルが現れ、男性に襲い掛かかろうとした。
しかし次の瞬間、現れたダークソウルは襲い掛かった体勢のまま、闇の霧となって霧散したのである。
そして、ダークソウルが消えた場所には、先程まで男性と向かいあっていたはずの楝が、心具を振り下ろした状態で立っている。
まさに、一瞬の出来事だった。
「……運が良かったな。私がいなかったら、今頃おまえは奴の餌だったぞ」
呆然とこちらを見つめる男に、楝はいった。
肝心な男の方は、まるで何が起きたのかわからないといった様子だ。
突然生命の危機に瀕し、そしてそれが他の者に倒された。それが今、彼の眼の前で一瞬のうちに起きたのだ。
混乱するのも、無理はないだろう。
しかし男は我に返るなり、何度も深呼吸をし始めた。
恐らく混乱した気持ちを落ち着かせて、冷静さを取り戻そうとしているのだろう。
そういうところは仮にも刑事、といったところだろうか。
ーーしかし、面倒なことになったな……
深呼吸をする男を見て、楝はため息をついた。
最初のコメントを投稿しよう!