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「え……魔女?」
箒に乗った黒い装束に、てっぺんが曲がっている特有の帽子を身に着けた少女が、俺たちの前へと降り立った。そのいでたちはどう見ても西洋の魔女。
彼女は眉根を寄せて頬を膨らませ、どう見ても怒ってる状態で鬼へと近づいた。
「何やってんのよ、もうーっ!生きてる人間なんか連れてきて!」
「わー、ごめんなさいっ!ミーちゃん!」
魔女に怒られて半泣きで頭抱えながら謝ってる鬼って、どうなんだろう。
思わず目の前の光景に口を開いてみてしまった。すると、魔女が気づいてキっと睨みつけてくる。金髪に碧眼の少女だ。
「あんたもなんなの!人間なら人間らしく怖がったらどうなの!もー!こんなんだから私たちの仕事ができないのよっ!」
もーもーよく鳴きながら魔女が地団太を踏む。そんなことを言われてもこんな異様な光景に驚くより怖がれって言う方がどうかしている。それに、二人ともちっちゃい子どもなせいかやっぱりそんなに怖くない。
少女はすぐに鬼へと視線を戻すと、怒りをぶつけ始めた。完全に俺は蚊帳の外だ。
「あ、あの……」
もーもー言ってる魔女と、泣きながら謝ってる鬼の攻防は収まることを知らなかったから、仕方なく二人に声を掛ける。すると、二人が同時にこちらを見た。
「何?」
「えーっと、質問がいくつかるんだけど、いいかな?」
イラつく魔女が腕組をして指で腕を叩きながら睨みつけてくる。相当気が立っているようだ。
なるべく刺激しないように作り笑いを浮かべて聞いてみる。なんでこんなことをしなきゃいけないのか、ちょっと情けなくもなるけど。
魔女がはぁっとため息を吐いてからどうぞ。と頷いた。
「まず……地獄なのになんで魔女がいるんだ?」
「もー!何言ってんのよ、西洋に鬼の地獄があるとでも言うの!?ばっかねぇ、こっちは悪魔なの、あ・く・ま!!」
「いや、だから、なんでそれが鬼と一緒の地獄に……?」
「今時、グローバル化でしょ。」
はんっと鼻を鳴らして冷たい視線を向けられる。地獄もグローバル化の世界なんですねー、知りませんでした。っていうか知るわけないだろっ!
突っ込みはなんとか飲み込んで、それよりも重要な質問のため口を開いた。
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