序章

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ねぇ、 シンちゃん? 彼女が僕の名前を呼ぶ。 どうしたのナナちゃん? あのね、知ってる? 風には匂いがあるんだよ。 そんなことをいいながら、 サラッとした綺麗な髪をなびかせながら まるで遠くに何かがあるように目を細めそんなことを口にする。 そんな彼女に どんな匂いがするの? と、 彼女と同じように遠くを見ながら問うた。 わかんない。 彼女は少し微笑み、しかし、やはり遠くを見るように目を細めている。 そんな彼女は少し、少しだけど悲しそうに僕の眼には少なからずそう映った。
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