4章 過去×肉じゃが

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4章 過去×肉じゃが

それからのナナは速かった。僕なら片付けに2時間はかかるだろう荷物をナナは1時間足らずで片付けた。 ナナ曰わく 「しょっちゅう引っ越ししてるから慣れた。」 らしい。 引っ越しが早くすんだから僕達はゆっくりしていた。 ……。 ……。 今日からナナの部屋になった元物置部屋に沈黙が続いた。 それを破ったのはナナだった。 「ミナミさ…ん亡くなっちゃったんだよね…。」 ちなみにミナミとは僕の姉さんのことだ。 ナナにしては珍しく歯切れが悪かった。 それはそうだ。僕の記憶の一部と感情を消し去った原因なんだから。 「……あぁ…。」 僕もそう答えるので精一杯だった。 ……。 ……。 再び、沈黙が部屋を支配する。 「記憶の一部………と感情……も無くしちゃったんだよね?」 「……あぁ…。」 気のせいだろうか。 僕の記憶や感情の話しをした瞬間微妙に悲しそうな、つらそうな顔になったのとそれに伴って声のトーンも下がった気がする。 しかし、いつまでもそうしているわけにはいかないからと思って立ち上がった。 「腹減っただろ?食べたいものある?作るから。」 一瞬呆気にとられていたナナだが、 「肉じゃが♪」 とさっきの元気なテンションでそう答えた。 肉じゃが。 僕とナナにとっては思い出の料理だ。 僕の母さんがナナがうちに遊びに来たときによく作ってくれた。 ものすごくおいしかったのを覚えている。 僕とナナは出来上がった肉じゃがを食べた。たわいもない話しをしながら。 そして23時僕等は布団に潜った。 僕の意識が飛んだのそのすぐ後のことだった。
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