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7章 クラス代表×幼なじみ×居候
―放課後。
僕は学校長室の前にいた。
コンコン、
今どき珍しい木製の扉が乾いたいい響きの音を奏でた直後、
「入りたまえ。」
僕が来るのをずっと待っていたかのようにすぐに返事が返ってきた。
それにしても、物凄く威厳を感じさせる声だった。昔父さんとわぁわぁ騒いでいたとは到底思えない。学校長が仕事とプライベートをしっかり区別する人だと知らされたのは後のこととなる。
「ねぇ…。まだ着かないの?疲れちゃったよ。」
「えっ?だってまだ5分も歩いてないよ?」
「疲れた~、疲れた~疲れた!!」
どうやら、筋金入りの我が儘嬢らしい。
「代表、後10分だから。」
「疲れたー!!」
…………。
まだそう騒いでいるうちは大丈夫だろう。
何故、僕は代表と下校してるかと言うと遡ること20分前、
「今日から、君はうちの娘と暮らしてもらう。」
「………はい?」
「だから、うちの娘と暮らしてもらう。」
……訳が分からない。
「…何故でしょうか?」
「実は彼女、あぁ見えてかなり我が儘でだらしなくて、何より自分の事―洗濯や掃除が出来ないんだよ。」
確かに学校での彼女は代表の仕事をテキパキとこなしてるし協調性もあるし。
「それと、僕の家に暮らすのとどう関係があるのです?」
「つまりだ。君は一人暮らしをしていて何かと困るだろう? そこでだ。うちの娘が住み込みで君のお世話をするのだ。これで君はより一層勉学に励むことが出きるし娘は身のまわりのことが出来るようになる。」
「けど、それなら他の家庭でも……。」
「だから、言ったろう。君は一人暮らしだ。」
「し、しかし……。」
確かに一人暮らしと言うことになっているがナナがいる。
「何か、隠してるのかね?」
「……いいえ。」
「では決定だな。」
「……はい。」
……あぁナナの事言えなかったな。
ということになった。
……先が思いやられる。
「まだ、着かないの!」
………………。
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