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自分と同じ形をしたものが、たくさん歩きまわっていた。
あるものは何かを耳に近づけ一人で話し、ある者は隣にいる存在に愛をささやいていたり、あるものは何か食べながら板のようなものをしきりに触っている。
他にもたくさんたくさん大勢のものが様々なことをしていた。
座り込んでいる自分を不思議そうに見て通り過ぎるものもたくさんいた。
何よりこの固い地面や、煌びやかな景色は何だろう。
明るい灯がそこら中を飛び回り、暗い夜を明るく照らしている。
そびえたつ大きな家々は、ヴェニアが首を上に向けても頂点が見えない。
そして、木々も無い。
森の仲間達も、居ない。
「お嬢ちゃん!そんなとこで何やってんだ!!邪魔だぞ!」
「え…!?あ、ご、ごめんなさい!」
「こんな道の真ん中で座り込んでるんじゃねーよ。まーじ邪魔」
「迷子なんじゃないのー?」
自分と同じ形をしたものたちが、今まで見たことも無いような眼差しでこっちを見ている。
そこにどんな感情が込められているのかは分からなかったが、うれしい気持ちになれたものではないことだけはわかった。
ヴェニアは怯えつつも慌てて道だと思われる場所から、遠ざかる。
さっきよりも静かな場所にたどり着き、なんとか息をついた。
たどり着いた場所は、少ない花々が整列していた。
ペタペタと裸足で辺りを眺め、景色が見える場所に立ち止まる。
ヴェニアの目の前に広がる光景は、もはや自分が知る世界では無かった。
夜は暗いもの。
なのにこんなに明るいのは何故なのか。
「ここは、どこ?」
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