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「太郎よ。」
山田がいきなり切り出してきた。
その日も一日を目立たないで過ごし、実に退屈な時間だったと思う。
他の奴らは部活に励んでいる。
ご苦労なこった。
これもただの嫉妬にしかならないこともわかっている。
「……なんだよ?」
少し返事に遅れる。
様子を見るからに苛立っているな、これは。
「太郎よ。」
「な、なんだよ……」
山田が長い溜め息をつく。
腕を組み直し、窓際にもたれ掛かる。
夕焼けを見る瞳は悲しそうだ。
「目立つには何が必要だと思う?」
山田は俺を見ずに言った。
目立つには……
これと言って思い浮かばないぞ……
「インパクトが必要だと思わないか?」
これは俗に言う誘導尋問ってやつじゃないのか?
「インパクト?」
「そう。私と太郎にまず足りない物……それはインパクトだ!」
力強く、そう言った。
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