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花子が部屋を出て行ったので俺は一人ぼっちになってしまった。
もう春とは言え、流石に夕方は風が身に染みる。
「帰るか……」
誰に言うでもなく呟くと、俺も部屋から出た。
やっぱり日の当たらない廊下は寂しく、時に冷たい。
そんな中、花子の言葉が何度も頭を回る。
向こうの自分。
意味がわからない。
ファラオの魂が潜んでいるのか、それとも化け狐でも飼っているのか……
やっぱり意味がわからない。
「寒っ……」
この冷え切った身体を温めるには風呂しかない。
帰ったらゆっくり風呂に浸かって、宿題やって、明日に備えよう。
話はそれからだ。
俺は自転車に跨がり、家を目指した。
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