飴玉ひとーつ!

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  「やよい、起きろって」 「‥‥栗さん、ですか」 「そう。出番だぞ、お前。」 「わー‥、まじですか‥」 ふわあ‥と、口に手をそえて 結構おおきめのあくび。 ほんと呑気だなあ、こいつ。 「‥栗さーん、」 「なんだよ、早く行けって」 「飴玉くれませんかね」 「は?あ、飴?」 「飴玉なめたら頑張れます、 なんかそんな気がするんで‥」 でた、ふわふわやよいさん。 ふわふわすぎてついてけねえ。 舞台に出ないのはまずいし 仕方ねえ、と思って 楽屋の端っこにあった飴玉を やよいの手にのっけてやった。 「‥んふふ、」 「うまいのか。」 「はいっ、栗さん ありがとうございます」 ニコニコニコニコしやがって。 可愛い奴。‥馬鹿だけど。 「じやあ行ってきます、」 「はは。幸せだなあ、お前。 飴玉ひとつでそんなニコニコ」 楽屋を出て行こうとした やよいがくるっと振り向いた。 「栗さんがくれた 飴玉だからですよっ!」 飴玉ひとーつ! (俺まで幸せになったよ)  
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