針女編

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「吉田……」 木村は驚いた。 しかし抱きつく吉田の背中にそっと手を回し、しっかり強く抱き締めた。 「木村君。」 「なんだ?吉田?」 すると吉田は木村の首筋を舌先でなぞるように舐めた。 「!?よ…吉田?」 「私ね…昔、男の人に酷いことされたの。」 明らかに吉田の雰囲気が変わった。 肌に突き刺さるような異様なもの。まるで針のように。 「この頭と首の境目に顎の骨があるでしょう? ちょうどリンパ腺があるあたり。ここって引っかけるのに最適でね………フフフ……………………快感なの…」 吉田は木村の顎下を食い入るように見つめていた。口は仄かに怪しく笑っている。 「吉田…お、お前さっきから何言ってんだよ…」 「命…… くれるんでしょ?」 すると、吉田の長い髪の毛が逆立ち、先端が鉤爪のようになり、木村の顎下へと伸びた。 それを見た木村は、 「うわぁあああ!!!」 吉田を振り払い、逃げた。 倒れた吉田は髪の毛は逆立たせたままゆっくりと立ち上がり、おしりを軽くパンパンっと払った。 「やっぱり… 男なんて、こんなもんよね。」 そしてスタスタと速歩きで教室をあとにした。
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