学校生活⑥

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「いやぁ、そこは俺も男だしさ。だって実際気になるでしょ。」 「おま、ここでする話じゃ…っ」 「んん?その反応はもしかして…」 ニヤニヤする洋太の頭を思いっきり叩けば大きなため息をついた。 なんだか他人事のように、楽しそうに俺の様子を伺ってくる様子にいらっとしたからだ。 「してないよ、」 「へっ?」 「してない。つーか、キスだけで、いっぱいいっぱいだっつの。」 潤を取り返したあの日に、暗闇の中キスをした。 一度耐え切れずにしてしまったあの一回から随分時間の経ったキスだったけれど、幸せでいっぱいで、手を出すとかそれどころじゃなかった。 潤とのキスは特別で、こんなに気持ちのこもったキスを何度も何度も続けていたら俺の方が持たないくらい、潤とのキスは気持ちよかった。 「はぁ?おま、なんだよ…もったいぶるなよな…。」 「そういう洋太は手出したわけ?梓に」 「出せるわけねぇだろうが。おかげでこっちは寝不足だ。船旅はただでさえ疲れんのに、ほぼ一睡も出来なかった。」 「ぶはっ!え、洋太が!?嘘だろ。」 「うっせ、俺だっていっぱいいっぱいなんだよ。こんな恋愛、俺は梓と別れたらもう二度とできねぇって思うよ。確信できる。」 「それは同じく。俺もきっと潤以上はできねーし。もう、離れるとか無理。」 「…お前、潤を好きすぎてキモイ。」 「そっくりそのまま言葉を返してやるよ。」 そんな軽いやりとりをしたあと二人で吹き出す。お互い女の子からの求愛が無くならないのが驚くべきことなんだけれど、(洋太はわかるけど)こんなに必死な恋愛をしてるなんて情けなくなる。余裕なんて、あったもんじゃない。 「だけど、向こうサイドとしては、俺らが余裕過ぎてムカつくとか言ってたりしてな。」 「あはは、確かに。絶対言ってるわ。俺らだって余裕ないのにね。」 確かに。なんて同意を示してから洋太は携帯をいじる。それに習って俺も潤にメールを打つ。 【どこにいる?迎えに行く。】 そこまで打って送信。そして数分後に洋太の携帯と同時に震えだす俺の携帯。中身を確認したと同時に洋太は立ち上がった。 「そこの喫茶店だってさ。行こうぜ?」 「…ほんっと、俺らって思考回路が似てるよね」 違いない、そう笑って洋太は俺を急かした。 .
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