-始まり-

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   元よりいきなりこんなわけの分からない部屋に連れてこられたのだから、肌身離さず持っている方が難しいだろう。 『……ですが、残念ながら持っていない人も居るようです。その人たちは参加資格がない為、敗者となります』 「……敗者……?」  ゲームと言うなら勝者と敗者が居るのは当然だし、参加資格がなくて敗者と言うのもまぁ理解は出来る。  だが敗者になると何があるのかは理解出来ない。  ……その意味は、次の瞬間嫌でも理解せざるを得なかったが。 「がっ……! ぅぼっ……!」 「うわぁああぁぁああぁ!?」  悲鳴に驚いて後ろを振り向けば、そこには口元を押さえているものの押さえ切れない大量の血が手の隙間、端からばたばたと落ちていく光景。 「きゃあぁああぁああっ!?」 「晴夏! 見るな!」  晴夏の視界を遮る様に前に立ち、壁となる桜。  吐血を続ける人物の体は振るえ、やがて背中を仰け反らせて血を吐き出すとそれを最後とする様にそのまま床へと倒れた。  その際、派手な音を一つ残して。  
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