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「……な、なんだ……」
目の前で起きた事を理解出来る人間は誰も居なかった。
ただ、血の臭いがやけに鮮明に感じられ桜は不意に自分が男の吐いた血を少しではあるが浴びた事に気付いた。
誰もが何も言えず辺りには静寂が流れる。
一体どうしたら良いのか分からず、誰もが呆けているとやがて異変が起きた。
「ひっ……!?」
床に溜まった血の水溜りが小さく泡立ったかと思えば段々とその泡は血の水溜り全体に広がり、そして倒れた人物も同じ様に泡立って言った。
すると泡立った箇所から溶ける様に消えていき、体が消えると最後には血の水溜りさえ消えていく。
そして全てが消えた時、まるで何事もなかったかの様にこの部屋に居たのは最初から四人だと言わんばかりにもう一人の存在は抹消されてしまった。
次々と起こる現象は思考能力を奪うには充分過ぎて、誰も何も言えないで居た。
『では、ゲームの説明に入りますね』
スピーカーから聞こえてくる声はまるで今の惨劇を知らないかのようだった。
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