709人が本棚に入れています
本棚に追加
私はてっきり近藤さんはこの話に乗らないと勝手に思っていた。
いったい誰が・・・。
私は座ったまま、試衛館の面子一人一人の顔を見ようと必死に体を伸ばした。
皆が不満そうな顔をしている中、一人だけ意思の強い眼で前を見続けるやつがいた。
あんたの仕業か・・・
土方さん――。
あの人もなに考えてんだ。
昔っからだけどよくわからない人だ。
「おい、真。」
新見は私の肩を叩き、小声で話す。
「芹沢さんからだ。
『血判しとけ』だとよ。」
芹沢さんも何考えてんだか・・・。
まぁ、都合がいいっちゃぁいい。
私は小刀で傷付けた真っ赤に染まっていく親指を“真”の下に押す。
指を離すと皆より少し小さく赤いあとがくっきりと残った。
最初のコメントを投稿しよう!