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ドンッ!!
「うぐっ!!」
私は前を歩いていた平間にぶつかった。
「おい、平間。いきなり止まるな。」
すると平間は「シッ」と人差し指を口の前に立て、私たちに言った。
「芹沢さんが止まってるんだ。
気配殺して奴等のはなし聞いてろって。」
奴等って近藤さんたちのことだよね・・・。
私達は言われた通り、気配を殺して近藤さんたちの話に耳を傾けた。
「仕方ないですよ、近藤さん。これからあんな胸くそ悪い策士がいっぱい出てくるんでしょうから。
ね、土方さん?」
総司はいつものなで声で土方さんに話しかけた。
「・・・なにが言いたい、総司。」
「やだなぁ、そんな熱い眼差しで見ないでくださいよ。
僕はそんな趣味、ありませんよ。」
「総司!!
ふざけるのもいい加減にしろよ!?」
久々に土方さんの怒鳴り声を聞いた気がする。
あれは一般の人が食らったら一発で黙るね。
ほら、平山とかビックリして固まってますよ。
まぁ、私とか総司は慣れっこだからさ。怒鳴られてもヘラヘラしてる。
自分で言うのもなんだが一番たち悪いな・・・。
「今は騒いでもしかたねぇし、今思い付きで動いちまったら元も子もねぇって。」
「し、しかしだなトシ・・・俺は・・・」
「今はしかたねぇんだよ。もし本格的に勤王集団なるんなら抜けりゃいい話だろ。
清河の野郎だって切羽詰まってんだ。そんなときに歯向かうのは愚かすぎるだろ。」
なるほどね。
土方さんはなに考えてるかわかんないけど、多分この中では一番の策士だ。
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