第一章

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「もう戻れないんですか?」 しばしの沈黙の後、男性が「戻れないこともないけど、少なくとも私は帰す気はないよ」と残酷な言葉を放った。その瞬間俺は俯いてしまい何も言えなくなった。 「諦め悪いね、お兄さん」と少年は溜め息をこぼし、続けて「何も殺すと言ってる訳でも、死ねと言ってる訳でもないんだし」と言いその後に「あっ」とひときわ大きい声を出し「ある意味死ぬようなもんか」とひとりで納得しているのを対面で唖然と眺めた。
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