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夢を引き金にしてふと思い出す・・・・
『今ならまだ引き返せますよ』
彼を閉鎖空間へ引き入れようとした…、あの時に告げた言葉は、彼の覚悟を確かめる言葉ではなく、自分の躊躇いが生んだ言葉だった。
怖かったのだ。畏怖の目で見られるかもしれない、存在をも拒まれるかもしれないということに。
与えられた役を演じ、全うすることが使命なれど、この一瞬だけはほんとうの自分をさらけだす。
だから、望んで得た力ではないからこそ、自分さえも否定されることは堪らなく、辛い。
しかし彼は僕の恐怖など、いとも簡単に覆す。
つまらない自惚れだと教えるように。
そう、それはとても簡単でつまらないものだったんだ。
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