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「伊藤、一緒に帰ろうぜ!!」
本日最後の授業が終わり片付けをしていると、友人の林が話し掛けてきた。
「うん、帰ろ!!」
入部している部活がない二人は、こうやって一緒に帰ることが多い。
部活に所属している生徒はすぐに部活に行ってしまうため、授業が終わってまだ10分もたっていないが、教室には二人を含む数人しか残っていなかった。
「今日の数学難しかったよね。
林くん、分かった?」
「…俺に聞くなよ、数学苦手なの知ってるだろ?」
「あ、そーだっけねー。笑」
そんな話をしている間に、教室には誰もいなくなった。
「相変わらず、皆いなくなるの早いよな。
俺達もさっさと帰ろう」
「うん。帰ったらモンハンやろっ」
教室を出ようとしたとき、廊下に誰かいることに気がついた。
「あれ、丸井先輩だ」
「ほんとだ、何で2年の階に?」
丸井は伊藤と同じ委員会に所属する3年生で、林とは幼なじみ。
人懐っこい性格から、学年問わず人気がある生徒だ。
「何で、じゃないでしょ。
伊藤くん、今日委員会だって覚えてる?」
「委員会…でしたっけ!?
うわぁ、すっかり忘れてた!!
ごめん林くん、今日一緒に帰れないや」
「…そうだったのか。
それじゃあしょうがないな。
先輩、どこでやるんスか?」
「今日は第二自習室だ。」
「そっスか。
じゃあそこまで一緒に行きます」
丸井を先頭に、三人は歩き出した。
丸井と伊藤は第二自習室、林は靴箱を目指して。
(今日、HRで委員会があるなんて言ってたっけかな…)
何でもすぐに信じる伊藤を横目に、林は怪訝な目で丸井の背中を見つめていた。
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