仕事

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「ありがとうございました。」 今日最後の客に深々と頭を下げた。 「はぁい。お疲れ様!」 拍手をしながらねぎらいの言葉をかけてくれたのは、普通ならば高2であるはずの店長飯塚 博忠(いいづか ひろただ)。がっしりとした体つきで、いかにも運動神経抜群。っといったところである。 彼がこの言葉を言った途端にレストランの従業員達は一斉に彼の元へと駆け寄る。 みんないつも以上に素早く集まった。待ってましたといわんばかりの期待した顔で。 なぜなら今日はアレが待っているから‥。 「みんな今月もご苦労様!‥じゃあまず岡部!」 一番最初に呼ばれたのは、店長の次に若い岡部 春(おかべ はる)。 整った顔で、いつもサラサラな髪。スタイルもいい。 本来ならば女子高生のはずである人である。 岡部さんは店長に一礼をして、"ありがとうございます"そう言いながら、銀行などによくある封筒を受け取った。 中身は給料。 そう、今日は給料日。 次に呼ばれたのは中学3年‥であるはずの川上 裕樹(かわかみ ゆうき)、15歳。僕の兄貴的な存在。 川上さんもまたお礼を言いながら給料の入った封筒を受け取る。 次は僕。 前の二人と同じように封筒を受け取り、手でその厚みを確かめる。 いつもより厚みがあったように感じた。 店長の顔を見上げる。 それに気づいた店長は僕に笑いかけてくれた。 ‥店長‥。 店長は優しい。僕は知っている。店長は月に一番がんばって仕事をしたであろう人に、自分の給料を削ってまで給料を増やしてくれているということを。 感謝の気持ちを胸に、 「ありがとうございます!!」 精一杯のお礼をした。
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