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「センパ~イ!!迎えに来たっす。部活行きましょ。」
何が悲しくて後輩の迎えなんか…
俺は、翔を無視して足早に部室へと向かう。
だが、そんな事でへこむような奴ではない。
ニコニコしながら、後ろからついて来ている。
(イライライライラ…)
そのまま部室へ入り、着替え始めると、背中にものすごい視線を感じる。
見ているのはもちろん・・・
「何だ?翔・・・」
そうコイツ。
「センパイの身体、キレイだなぁと思って見惚れてます。」
「何だ、キレイって・・・。アホらし。」
「自覚ナシっすか?まぁ、そんな所も良いんですけどね・・・」
そう言いながら、背中に触れてきた。
「なっ・・・」
「触り心地も良いですね。」
背中から脇腹、そして腹筋の辺りに手を伸ばしてきた。
「おいっ!!何して・・・んっ・・・」
触られる感覚にゾクッとして、変な声が出た。
「うわぁ・・・センパイ可愛い。」
翔の手が離れていく。
「・・・」
「そんな顔しないで下さいよー。さ、練習行きますよ。」
翔はさっさと行ってしまった。
「どんな顔だよ。ったく・・・」
俺は何とも言えない気持ちのままグラウンドへ向かった。
翔は既に練習を始めていた。
「・・・上手いんだよな。」
一緒に野球をやり始めてまだ3ヶ月だが、中学の頃からやっていたらしく、1年だけどほぼレギュラー確定だそうだ。
(顧問とキャプテンが話してた)
そう言う奴は妬まれたりする事が多いと思うが、アイツに対しては皆無に等しい。
誰よりも練習している事をみんな知っているし、持ち前の明るさもあるからだろう。
男女共に人気があるらしい。
・・・男にも人気があるって言うのは、聖也が言っていた。
「黙ってりゃ可愛いのに・・・」
って何考えてんだ、俺!?
アイツが可愛いとか、どう考えてもおかしいだろ。
その日、俺はいつも以上に必死で練習をした。
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