万華鏡、覗キテミレバ。

2/14
前へ
/30ページ
次へ
あと一分……。 あと三十秒……。 あと十秒……。 「終わったぁー!」 チャイムが鳴った途端に思わず叫んでしまったあたしに、教室中の視線が直撃する。 「あ……、すいません」 そりゃ、普段割と大人しくしてるのが、授業が終わった途端に叫んだらこうなるわ。 だが、この衝動を抑えることは出来ない。 何てったって、あたしはこれから幕末に行くんだから!! あたしは最近、新撰組に物凄くハマっている。 “誠”の旗を掲げ、最期まで志を貫き通した彼らの生き様に惚れ込んだ次第である。 始めはゲームやマンガだったが、史実の彼らをきちんと知るべく、歴史小説なんかも読んでいる。 平凡な日常から抜け出して、あたしも新撰組と共に幕末という激動の時代を駆け抜けたい。 そういうわけであたしは、新撰組好きの女の子が、偶然幕末にトリップ!という展開を待ち望んでいる。 そして、その機会は思ったよりも早く、訪れようとしているのだ。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

616人が本棚に入れています
本棚に追加