受傷事故

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 容疑者の名前は新居庄司(アライショウジ)  南河内市内にある三流私立大学の四回生。  高校生時代に幼女に対する強制わいせつで補導された前があり、その時採取された指紋と、今回の事件で被害者のランドセルから見つかった物と一致し、逮捕状が発行された。    今まで綺麗に証拠を残さず犯行を重ねて来たが、悪運も尽きたと言うわけだ。  この決定打となったランドセルの入手に成功したのは壬生だった。  被害者の供述から新居が素手で触ったことに気付き、親が処分する寸前で手にいれたのだ。  だから、壬生に取って新居は自分の獲物だと言う認識があった。  同僚の横取りは無論許さないが、担当の検事がいい加減な事件処理をするのも看過できない。  ほかの刑事達がする噂話によると、今回の担当検事は性犯罪にかなり甘いらしい。  量刑の重さ=事件の値打ちだとすれば、それなりの重罰でなければ自分の獲物にハクがつかない。  そんな計算を巡らせている時、壬生の無線機がなった。 「新居の奴、間違いのう中に居るな?」  係長の声がイアホーンを鳴らす。 「ハイ」  壬生の簡潔な返答に係長は間髪入れず命じた。 「よっしゃ、着手や!」
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