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(かぁ様に恥かかせたっ!!!
自慢の娘って言わせてあげたかったのに…
絶対あのおばちゃん
呆れてたっ!!!)
バタバタ…どんっ!!
「おっ?!」
「ふぇっ?!」
(やっ?!だれかにぶつかった?!)
前も見ずに走っていた柚子は
庭の先で人にぶつかってしまった。柚子が「すみません!!」と
泣き顔のまま見上げると
「いやいや。俺も前を見ていなかったからな。
すまんすまん。」
と、気さくに笑い掛ける青年。
見た目は
がたいがよく
エラ張りの顔。
つり気味の立派な眉に
キラキラした瞳。
何でも一口で食べてしまいそうな大きな口。
「小さなお嬢さんは
そんなに泣いてどおしたんだい?」
青年は自分を見つめて
固まっている柚子に優しくはなしかけるが…
「おっ…お…おっ…」
「お?」
ガタガタ震えながら
青年を見つめ
更に涙を溢れさせながら
言葉を発する。
『鬼さんだっっ!!』
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