第一の扉 ―色欲―

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私が学校に来てから、幾何かの時間が経った。 「えー、では、先の聖戦の要となったとされている都市は…ミレーユ」 「は、はい…」 歴史学の授業、先生に指名された私はおずおずと立ち上がり、教科書を見る。 「ええと…聖都クルド、違うかな…クル…えっと、カルディナ…です」 私は必死に教科書に書かれている文字を読み上げた。 そんな私の姿を見てクラスメイト達が失笑しているのが分かる。 「えー…スクルドは工業都市だ。正解は山岳都市クレディアであり、十字軍はこの地形を生かし―…」 あぁ、またやってしまった。私は恥ずかしくて涙が出てくるの必死で我慢した。 歴史学の授業に限ったことではない…無学な私はいつも間違えてばかり。 最初は先生もクラスメイトも笑ったりはしなかった。けれど、最近は私が間違えればみんな笑い、無学な田舎娘と陰口を叩かれることが増えていった。 ソニアだけが、そんな私を励まして、冷やかしてくるクラスメイト達に怒ってくれるのが、救いだった。 私は隙を見つけては勉強をした。 けれど、クラスメイト達との差は開くばかりで…
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