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どんなに美しい都にも、貧民街というのは在るものだ。
そしてそこに生まれ、生きなくてはならない者もいる。
僕たちは、そんな場所に生まれ落ちた。
僕らは孤児院で育った。親の顔は知らない。赤ん坊の頃に、都市外周部の貧民街に捨てられていたらしい。
だから僕らは、本当の兄妹なのか分からない。
だけど、僕たちは本当の兄妹よりも強い絆で結ばれてるって信じてる。
「お帰りなさい、ティト!」
「ただいま、ミリィ!」
帰ってきた僕を妹のミリィが出迎えてくれる。
僕らは仲の良い双子として、この孤児院で育った。
「どうだった?」
ミリィが僕に尋ねる。
僕らの孤児院では、年齢が14になった子供は働きに出る決まりになっている。
13の僕たちは、そろそろ働ける場所を探さなくちゃいけない。
ミリィは、孤児院の手伝いをしている。いつかは僕らを育ててくれたシスターみたいになるのがミリィの夢で、修行を兼ねての下働きだった。
そして僕はというと…
「今日は職人街に行ったんだけど…」
貧民街出身の孤児を雇ってくれる場所なんてなかなかない。
毎日街の色々なところを回っているけれど、良い顔をしてくれる場所は一つとしてなかった。
「そっか…でもだいじょーぶ!
街は広いんだからっ!」
ミリィはそう言って僕を抱きしめてくれる。
それだけで僕はだいぶ楽になるのだ。
僕らは互いに励ましあって生きていた。
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