第二の扉 ―暴食―

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その日、僕は夕飯のパンもこっそり隠し持とうとした。けれど、シスターに見つかってしまった。 孤児院だってお金があるわけじゃない。食べ物だって限りがある。 だから、仕方ないことだと諦めるしかなかった。 「ティト!」 肩を下ろして歩く僕にミリィが声をかける。そしてにやりと笑ってみせた。 ミリィはおもむろにスカートの中をごそごそしたかと思うと、隠しポケットから、パンを取り出してみせた。 「ミリィ…」 「おっと、まだ喜ぶのははやい! …今日のこと教えてくれたら、あげる!」 「ちゃっかりしてるなぁ、もう」 僕は苦笑しながら、ミリィに今日見たことを打ち明けた。 ミリィはやっぱりにこやかに僕の話を聞いてくれた。 というか、多分、ミリィには全部お見通しなのかも知れない。 「それじゃあ」 ミリィは話を聞き終えるや否や僕を裏口へと引っ張ってゆく。 「ティトのしたいことなんて分かってるんだから。 いってらっしゃい、パンは明日まで隠しておけないでしょ?」 「ミリィ、ありがとう!」 僕はパンを受け取ると、貧民街へ駆け出した。 ミリィが後ろで励ましてくれている。 きっと僕たちは同じ気持ちだった。
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