第二の扉 ―暴食―

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それから僕は毎日のように貧民街へと通った。朝食や夕食のパンを隠し持って。 でも、それだけで足りる訳がない。僕は急いだ。働いて、お金を稼がなくてはならない。 はやく、自分で稼いだお金で、子供達みんなに十分なパンをあげたかった。 ミリィとは、いつか僕たち二人が、貧民街の子供を育てる孤児院を作れたら、なんて夢を語っていた。 けれどやっぱり、働かせてくれるところは、なかなか見つからなかった。 そんなある日。 「にーちゃん!」 「ティト!」 貧民街に行くと、子供達が一斉に僕に走り寄ってきた。 みんな狼狽え、目に涙を溜めている。 「クレアが…クレアが…!」 僕はクレアのいる場所へと駆けた。 そこには、目を開く事も出来ずぐったりと横たわるクレアと、その手を握りしめる兄の姿があった。 その兄は、僕を見るとすぐさま走り寄る。 「にーちゃん、クレアを、クレアを助けて!」 僕は無力感に打ちひしがれた。 僕にはお金がない。クレアを医者に連れて行く事も出来ない。 すがりつく少年の瞳が胸に痛かった。 僕は孤児院へと駆けた。 そして孤児院の台所へと走る。 そこには、今日のみんなの食事の材料があった。パンに果物、野菜にミルク。 考えている暇なんてなかった。 僕はそれらを抱えられるだけ手に持って、シスターの静止を振り切って、貧民街への道を駆け出した―…
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