第二の扉 ―暴食―

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「みんな、これで…!」 僕は溢れんばかりの食べ物を手に、子供達の元へと戻る。 けれど、子供達はみんな、泣いていた。 急いで、クレアの元へと駆け寄る。 その身体はまだ温かだったけれど、もう、息を、していなかった。 それからしばらく、僕たちはクレアの傍にいた。 雨が降ってきて、クレアの身体がどんどん冷めてゆく。 翌朝、クレアの身体は完全に冷たくなり、動かなくなっていた。 クレアは、死んでしまった。 孤児院に戻った僕を待っていたのは、シスターのお説教だった。 そこには何故かミリィも一緒だった。 僕が出たとき、シスターを止めようとしてくれたらしい。 僕たちは洗いざらい、今までのことを打ち明けた。その間もずっと、ミリィは僕を庇ってくれた。 僕たち二人はたんまりと怒られた。 でも、幸い、シスターは優しくて、僕が持って行ったのは孤児院の食べ物だったからと、罪に問うことはなかった。 けれど、貧民街に行くことは、禁止されてしまった。 「私たちだって全ての子供を救って差し上げたい。けれど分かっているわね? 一人、十人助けられても、全員を助けることは出来ないわ」 シスターは悲しそうにそう言って、僕たちを抱き締めてくれた。 「ティトは間違ってないわ。 人が、見えている命を救おうとする心に、罪はないもの」 二人きりになって、ミリィはそう、励ましてくれた。 僕は罪を犯した。けれど、この気持ちに後悔しないと決めた。 僕は頑張って、いつか自分の力で、彼らを救えるようになろうと決意する。 けれど、僕は忘れていた。 どんなに小さな罪でも、罰は下るんだ。
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