第二の扉 ―暴食―

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幸い、ミリィの病は不治の病ではなかった。薬もある、早期に治療をすれば、助かる病気だった。 「私、元気が取り得だから、きっとすぐ治るわ」 それを聞いたミリィは、ベッドの上でにこにこ笑ってそう言ってみせた。 孤児院は出来る限りミリィの治療をしてくれた。特効薬には手が届かず、安い薬や薬草でミリィの病気を治そうとした。 けれど、次第に病はミリィの身体を蝕んでいった。 僕の脳裏にクレアの姿が浮かぶ。 あのとき、もう少しはやくクレアに何か出来ていたら。 そう思うと、焦燥感が僕を襲った。 クレアのときと、同じことが起こってしまうかもしれない。 僕は必死に働いて、隙が在れば薬草を採りに行った。 けれど、日に日にミリィは弱っていく。 僕は決意し、ある日、稼いだ全てのお金を持って、薬屋に行った。 「流行病の薬を下さい!」 僕のその言葉に、店主は薬を持ってきてくれた。 でも、その値段は、桁が違うほど手の届かないものだった。
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