26人が本棚に入れています
本棚に追加
神父はまた教会に戻っていた。
相変わらず慣れない感覚に戸惑う。
「彼らは盗みという罪を犯しました」
純白の男はが言う。
男が次の言葉を紡ぐまでもなく、神父は考えていた。
確かに少年は罪を犯した。
それは色欲の少女とは違う、事実たる罪。
しかし、どうだろうか。
彼らはまだ幼く、その心は慈愛に満ちている。
その彼らに暴食の大罪を背負わせるには不釣り合いだと感じた。
神父は仮面をつけた少年たちに言葉をかけた。
「確かに、罪を犯してしまったことに変わりありません。
…けれど、それを悔い改めるならば、あなた達は十分赦されて然るべきでしょう。
あなた方の慈愛の心に、神も許しを与えて下さるでしょう」
「では貴方は彼らの罪を赦すと」
男の問いに、神父は頷いた。
「良いでしょう、今ここに、二つ目の罪も赦された!」
男はまた仰々しくそう告げる。
「さあ、次の罪を…」
最初のコメントを投稿しよう!