第三の扉 ―強欲―

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私は美しくもなければ聡明でもない。 いつもお姉様と比べられ、お前に美貌があったら、と嫌味を言われたこともあった。 「しかし、ギルベール卿はサーシャにいたく執心しておられてなぁ…」 お父様は苦い顔をする。 私も、無謀なこととは知っていた。結局、私の気持ち一つではどうしようもないのだ。 結局、私は何もすることが出来なかった。 それから数日、私は、ギルベール様が遂にしびれをきらし、お姉様に会いに来たことを知る。 その日お姉様は部屋に自室に鍵をかけ、私の部屋に逃げ込んでいた。 「お姉様…」 「まさか家にまで来るとは思わなかったわ」 お姉様達の住む離れでは、ギルベール様とお姉様のお母様、お父様が必死でお姉様を説得しようとしていた。 「私、ギルベール様を見て参ります!」 私は意を決して部屋を出る。 お姉様を悩ませる男の姿を一度見ておきたかった。 「エメリア!?」 驚くお姉様の声を後目に私は離れへ急いだ。 離れには、未だかつてないほどの人集りが出来ていた。 私は息を大きく吸い、姿勢を正す。 凛と、私だって一人の貴族令嬢。
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