第三の扉 ―強欲―

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「もう、信じられませんっ! お姉様のこと何も分かっていないんですもの!」 「随分、思い切ったのねぇ…」 私は部屋に戻るとすぐにお姉様に、あったことを洗いざらい話した。 「だって私、何だか悔しいです。お姉様をあんな人にとられるかもと思ったら…」 「エメリアは可愛いなぁ!」 私は少しバツが悪くなって口ごもってしまったけれど、そんな私をお姉様は抱き締めてくれた。 「本当、お姉様があんな人に嫁いでしまったら大変です」 私はお姉様に幸せになって欲しい。 だから、ちゃんとお姉様のことを分かってくれる方と幸せになって貰いたかった。 「エメリア、この縁談、二人で頑張って破断させちゃいましょ。ギルベール卿には悪いけれど」 「はい!」 お姉様はいたずら顔でそう言って、私達は約束を交わした。 エメリアは、姉の幸せの為に サーシャは、妹を泣かせない為に 少し食い違った、ちぐはぐな考えだけれど、お互いの願いはそれだけだった。 それなのに、二人の行動は好き勝手に解釈され、利用されることになる。
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