第三の扉 ―強欲―

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「没落貴族の強欲な令嬢姉妹」 暫くして、二人につけられたレッテルはそんなものだった。 それは本当に勝手な大人の思い込み。 まず、サーシャの母が、エメリアの話を盗み聞き、「エメリアはサーシャに成り変わりギルベール卿の妻の座を狙っている」と言った。 エメリアの母は、「サーシャはギルベール卿に嫁いでこの家とエメリアの地位を乗っ取るつもりだ」と言った。 二人の妻の諍いはだんだんと大きくなっていった。 そしてギルベール卿までも、「姉のサーシャは貢ぎ物に満足せず、その美貌を盾にギルベール家の財を食い物にした」 「妹エメリアはサーシャに横恋慕し、縁談を邪魔し、あまつさえ自分がその座につこうとしている」 そんなことを言い出したのだ。 貴族の噂は広まるのが早く、あっという間に二人には「貪欲な姉妹」の名がつくこととなる。
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