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「私、ギルベール様の妻になんて望んでいませんでした」
「私も、エメリアを貶めたくなかっただけだった」
二人は逃げていた。
箱入りの妹の手を、姉が引く。
「そんな、お姉様。私はそんなこと気にしなかったのに」
「お互い、変に気にしすぎたのかしらね」
今更何を考えても遅い。
互いが互いを思い合った言動が、貴族の諍いで歪みに歪まされ、こうなってしまっただけなのだ。
二人が望んだのは姉妹の幸せだけだったのに。
「エメリア、私、前に言ったわ」
サーシャは笑っていた。
「私を連れて、逃げてくださるんでしょう」
エメリアも笑っていた。
二人は手を固く握り、
暗闇の果てへと逃亡した。
―そしてその後、「強欲な姉妹」の行方は、知れない
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