第三の扉 ―強欲―

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「私、ギルベール様の妻になんて望んでいませんでした」 「私も、エメリアを貶めたくなかっただけだった」 二人は逃げていた。 箱入りの妹の手を、姉が引く。 「そんな、お姉様。私はそんなこと気にしなかったのに」 「お互い、変に気にしすぎたのかしらね」 今更何を考えても遅い。 互いが互いを思い合った言動が、貴族の諍いで歪みに歪まされ、こうなってしまっただけなのだ。 二人が望んだのは姉妹の幸せだけだったのに。 「エメリア、私、前に言ったわ」 サーシャは笑っていた。 「私を連れて、逃げてくださるんでしょう」 エメリアも笑っていた。 二人は手を固く握り、 暗闇の果てへと逃亡した。 ―そしてその後、「強欲な姉妹」の行方は、知れない
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